文 献 综 述 １．狩野亨吉 （1928） 『安藤昌益』 岩波講座　世界思潮 安藤昌益は1703 年に秋田藩の新田村の農家に生まれたが、その後ほとんど記録が残っておらず、どのような生活を送っていたのかについては詳細が分からない、謎の人物である。

15歳ぐらいの時に京都に移動し、北野天満宮で修行したことがあるという記録が残っているため、禅を学び始めたことが明らかになっている。

しかし、それと同時に、禅だけではなく儒学#12539;儒教、そして道教についても学んだのではないかという説もある。

都で禅を学び始めたが、途中でやめ、医学の修行をはじめたという。

これについても、記録が残っている。

しかし、その後の 10年ぐらいは何をしていたのか、記録がないので分からない状態であり、突然、1744 年に八戸に移住し開業医となった。

1749 年に八戸藩で飢饉が発生し、約3000 人ぐらい餓死したが、昌益はこの出来事も経験したわけである。

この時点で既に村の人たちと一緒に生活していたので、いろいろな社会問題や村の人たちの葛藤などを目の当たりにしていたのであろう。

そのため、世の中のあり方や「自然」と「人」との関係など様々な社会問題について考えるようになった。

そして、1752年に『自然真営道』や『統道真伝』の執筆にとりかかり、1762 年に 60歳でなくなった。