文 献 综 述 １.原子修（1990）『宮沢賢治論』　札幌大学教養部紀要 　原子修（1990）は本論では宮沢賢治の生涯及び生活の背景を詳しく紹介した。

宮沢賢治は子供頃から仏教に関するものに触れはじめた。

それから、10歳の時、「我信念講話」に参加し、16歳、仏教夏季講習会で島地大等の法話を聞き、このうちに、賢治の意識世界はあきらかに、二次元的な平面思考、さらに三次元的な球体思考へと転化してきた。

これは、彼は『銀河鉄道の夜』という童話を書き上げた重要な原因だと思われる。

それでは、平面思考と球体思考は何であるのか、作者の説明は以下である。

　作者によると、「平面思考は平面上に描かれた中心点は、周縁部を構成するすべての周縁点をつかねる唯一の絶対的な点として君臨し、この支配、服従関係の逆転はたやすくない。

」「球体思考は中心も周縁も同じ球面上の等位な点にすぎなくなる。

たえず、くるくると回転する球面上ではすべての点が球心から等距離であり、中心も周縁も削減する。

」さらには、「これは、賢治の絶対自由の鍵だった。

」という。