本研究は、ジェンダー視点から日本における性別役割分業の変容を、テレビドラマを主な素材として考察するものである。

具体的には、戦後から現代に至るまでのテレビドラマにおける性別役割表象の変遷を辿ることで、日本社会におけるジェンダー意識の変化を明らかにすることを目的とする。

その際、伝統的な家族観や価値観、女性の社会進出、少子高齢化、グローバル化といった社会背景との関連にも目を向けながら、テレビドラマがどのように性別役割分業の変容を映し出し、また、その変容を促進してきたのか、あるいは逆に固定化してきたのかを分析する。

本研究を通じて、現代日本社会におけるジェンダー平等の実現に向けた課題を浮き彫りにし、今後のテレビドラマの可能性と責任について考察する。

キーワード：ジェンダー、性別役割分業、テレビドラマ、日本社会、ジェンダー意識

1.1ジェンダー
ジェンダーとは、社会的、文化的、歴史的に構築された性差を指し、生物学的な性差であるセックスと区別される。

性別役割分業やジェンダー規範、ジェンダーアイデンティティなどを含む概念である。

1.2性別役割分業
性別役割分業とは、性別によって異なる役割や責任、期待が社会的に規定されている状態を指す。

伝統的な性別役割分業では、男性は仕事や社会活動、女性は家事や育児といった分担が一般的であった。

1.3テレビドラマ
テレビドラマは、テレビ放送を通じて視聴者に提供される劇的な物語形式の番組である。