１、「日本の父親の子育てと「稼ぎ手」役割 」 森田美佐（２０１１）高知大学教育学部　 この論文では、日本の父親の子育てについての世論や、父親自身の子育てへの関わりに対する意識や実態を国際比較調査などのデータから明らかにした上で、育児に参加したいと願う父親に対して、どのような社会関係が求められるのかを検討している。

さらに、本文と関わる扱う問題点についても述べられている。

具体的な内容は主に以下の3点である。

１、近年、父親の子育てに対する社会的な関心は高まって、また「父親であること」を楽しみたいと考え、自身も何らかの形で子育てに関わろうとする父親も増加していること。

２、日本の父親の子育てへの関わり方はまだ先進国と同じ水準には達していなくて、また２０００年代以降の日本の父親はその子育ての関わり方の中心は、まだ「遊び」の部分でしかないこと。

３、父親を育児から遠ざける原因として、職場の風土や父親の長時間労働の他、社会も妻側も男性に経済力と仕事優先を期待すること、父親不在が子供の発達に与える影響を十分に議論してこなかった社会であることや女性#12539;男性を含めて、出産#12539;育児で休む労働者を排除する企業を結果として容認してきた社会であることも指摘された。

要するに、この論文では本文の参考になれることはもちろんあるが、足りないところもあると思う。

例えば、父親が育児から遠ざける原因についての議論は全面的だとは言えないと思う。

2、「父親の役割と子育て参加：その現状と規定要因、家族への影響について」 石井 クンツ昌子(2009 ) 季刊家計経済研究 この論文では、まず、現実に目を向けると、父親の家庭内における役割は限定されていて、子育て参加も母親に比べると少ないという現状を明らかにしている。

それに、現代の父親は以前の父親と比べて子育てを多くしているのだろうかという問題や父親の子育て参加を規定する要因を分析した。