1．坂本 毅啓（2018）「子どもの貧困対策としての学習支援の展開と政策的課題:保護者を含めた世帯全体への支援の重要性」，日本医療福祉政策学会日本医療経済学会会報，2018年１卷１号 「保護者を含めた世帯全体への支援の重要性」において、子供の貧困の定義が指摘され、子どもの貧困とは、経済的困窮と社会的排除によっても耐えられない子どもの幸福を追求する自由の欠如#12539;権利の不全と定義される。

坂本はNPOが北九州市において取り組んでいる学習支援事業の支援記録を読んで、アセスメントデータを基に分析して、子どもと保護者への支援効果が連動して変化することを明らかにし、子どもと保護者を一体的に世帯支援することの必要性を示した。

脱貧困を目指した学習支援が効果を上げることは困難であるという政策的課題について、子どもだけでなく世帯にも支援を行うといった実践の拡大の重要性を明らかにした。

２．永井保男（2016）「子供の貧困#12539;その背景に関する人口学的考察」経済研究所年報, 第48号 貧困と人口は、人口学にとって古くて新しい、かつ永遠のテーマである。

人口学の祖であるマルサスの人口論も、貧困の背景に人口の増加があることを論じている。

日本は少子化が深刻化になり、世界経済第3位の経済大国を誇る国なのに、子供の貧困が社会問題視されるという異常な状態が続いている。

近年では、日本政府も政策的を取る姿勢を示し、2013年の「子どもの貧困対策の推進に関する法律」の規定により、2014年に「子供の貧困対策に関する大綱について」が閣議決定された。

本稿では、日本の将来を担う子供の貧困に関して、その背景について、人口の推移と生活価値観の変化に伴う家族#12539;世帯構成の変化など、子供たちに社会環境の変化が及ぼした要因を、人口学的な側面から探ろうとしている。

3.浦川邦夫（2015） 地域間の経済格差と貧困の動向 日本では、バブル経済崩壊以降のデフレ経済のもとで、地域間経済格差が拡大しつつある。

例えば、(1)雇用者の賃金水準の低下、(2)高齢者をはじめとした様々な階層での生活保護受給者の増加、(3)貯蓄無し世帯の増加などの現象である。