文 献 综 述

１．『女性の時代という神話』　山下悦子（1991）東京青弓社

　本書の主題は時代の発展とともに、女性の影響力はだんだん広くなることである。大衆の時代がやってきて、女性の文化が花開くだろうと述べた。この時代は商業主義の時代であり、女性の時代となることを予言していた。「鉄は国家なり」といった言葉に象徴される男性中心の価値観が崩れ、女性の社会進出が急速にフツーになった。『キッチン』の創作背景は当時の社会状況につながって、女性も社会のいろいろな領域で活躍している。一方、女性たちは自己価値の実現のため、仕事への決心は強く、男性よりもこの時代で輝いている。この生き方は斬新で、つまり、女性は自分の欲求を重視し、両性平等な社会環境を作ることにとって良いだろう。吉本ばななはこの事実に準じて人物を設定した。

　この本は小説背景の分析において非常に有効である。

２．『女性作家の新流』長谷川泉（1991）東京志文堂

　父親としての吉本隆明は「生活者の思想」、あるいは「日常性の思想」という観点を提出したことがある。吉本ばななの小説には家庭は日常の生活はほかの家庭とは違って、それは血縁に支えられた家庭ではなく、特別な家族だ。こんな家庭はたまたま一緒に暮らすようになった。吉本ばななは孤児になった主人公を作る。そして特別な家庭で暮らす、その家族とつながるのは、「ともに食べる」という行為だ。台所は重要な意味があり、家族の核心になる。台所も吉本ばななの創作の象徴である。人情小説である『キッチン』は「死亡」、「成長」、「孤独」という要素を含める。たとえば、人情性を表現したところがある。「あとがき」は小説での重要な存在である。吉本ばななは日本文学の「あとがき」史上画期的な作家であると思える。彼女の言語特色は日常的、要するに、言葉を巧妙的な運用したところは多い。「あとがき」は作者自身の情感を記録したものである。当時の社会は混乱で、人間において自己実現と自己価値の探すことは難しい。しかし、吉本ばななは小説でこの可能性を読者に伝えることがある。これは小説の特別なところだと思う。日常生活の繊細なことを描く、人間感情を反映し、読者において共感と親近感を与えることができる。

３.『吉本隆明#215;吉本ばなな』　吉本隆明、吉本ばなな（1997）東京ロッキングオン

吉本ばななは吉本隆明の次女である。この本はこの親子の対話を記録している。吉本隆明は父親として、娘と一緒に創作の意義や目的や従来の有名な作品などを相談した。この本から吉本ばななの内心を見ることができる。具体的には、彼女の風格は自分らしい、小説で書いた人物は読者において無関心で寂しい、実はそうではなく、すべての人物は積極的な性格で、お互いに依存して、ついつい成長した。本書は前文扱う問題点を述べられている。具体的な内容は、主に以下の三点である。

一点目としては、吉本ばななの書いた小説は単純な癒し系の作品ではない。吉本隆明と吉本ばななの会話を通じて、彼女はこの定義を否定した。吉本ばななの出発点は冷たい主人公の辛い成長過程を描いて、読者は小説を読んだら、自分の考えを通じて、何か得ることができると望んだ。傷を癒すということであり、消極的な、受動的な「癒し」と言える。癒し系に比べて、積極的な人生態度を教えてくれたほうがいい。